被覆栽培とは、新芽の育成中のお茶の木に遮光資材で覆いをかけ、一定期間日光を遮って栽培する方法です。日光を遮ることにより光合成が抑制され、成長による新芽の葉の硬化を遅らせることができます。

その中でも被覆栽培の大きなメリットが、高品質のお茶に仕上がることです。太陽の光に当てずに育てた新芽は、葉に中にあるうま味成分のもとである、テアニンなどのアミノ酸類を増やします。日光を浴びるとテアニンはカテキンに変化する性質を持つため、被覆栽培によってカテキンの生育を抑えることができるのです。そのため、被覆栽培のお茶は苦味が少なく濃厚な旨みや甘味の感じられる美味しいお茶になります。濃く鮮やかな緑色の葉や、青海苔のような香りのする「覆い香」なども被覆栽培されたお茶の特徴です。

被覆して栽培されるお茶には、玉露、かぶせ茶、てん茶などがあります。日本茶の最高峰ともいわれる玉露と抹茶の原料であるてん茶は、新芽が2～3枚開き始めた頃にヨシズやワラなどで被覆を行い、日光の量は期間で調整します。摘採される時期は、玉露で20日前後、てん茶は玉露より少し長い被服期間が一般的です。かぶせ茶は、玉露よりも更に被服期間は短く、簡易被覆で玉露の特徴を持たせたお茶です。被服期間は1週間ほどで、遮光率の低い遮光資材を用いる場合もあります。

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